昨年読んだ小説は132冊でした。
一昨年は133冊で、してみると一昨年より1冊劣るのですけれど、雑誌は統計に入れていないので、ここにファウストvol.7*1やらyom yom vol.6*2、あるいは、StorySeller*3、さらにはパンドラ*4vol.1 SIDE-A&B、vol.2 SIDE-Aを加えると、活字の量としては上回っているんではないかと。
で、次に昨年読んだ漫画ですが、こちらは66冊でした。一昨年は92冊だったので、大分減量してますね。
それでは、以下、昨年僕が読んだ小説&漫画の中で特に面白かったものをリストアップ。極々私的なものなので、今年出版された本じゃなく、あくまで、僕が今年読んだ本ってことで。
シリーズはまとめて一つとして扱います。
小説
『暗黒館の殺人』(1〜4) 綾辻行人
昨年のトップバッターでした。雰囲気の重厚さと、今まで館シリーズを読んできた人間に対するちょっとした仕掛けが最高。「うみねこのなく頃に」の漫画をサークルで読んだのですが、あれが好きな人は読んでみたらとも思います。
『理由あって冬に出る』 似鳥鶏
文化系サークルが舞台の学園ミステリで、さらに扱う題材が「幽霊の噂」という、僕が好きな要素ばかり集めたみたいな小説。コミカルで面白かったです。
『アストロノト!』(1〜3) 赤松中学
科学文明が滅亡し、魔法文明がそれに取って代わった地球で、魔法と科学の力を組み合わせて宇宙へ行くという話。ご都合主義的展開が多々あれど、伏線の回収の仕方や宇宙へのロマンが駆り立てる熱い展開なんかが良かったです。完結済み。
『天涯の砦』 小川一水
軌道ステーションで発生した事故により、宇宙に取り残された人々を描いた長編SF。実写映画でも観ているかのような作品でした。
『モーフィアスの教室』(1〜4) 三上延
クラスメイト全員が見た悪夢。幼馴染と共にその正体を探るうちに、自らの血筋に架された役割と、幼い日に自らが負った罪に気付かされた直人は―――。
学園伝奇ホラー。派手さはないのだけれど、クオリティを維持し、少ない巻数できっちり話を完結させるというラノベには珍しい作品。
『恋愛の解体と北区の滅亡』 前田司郎
宇宙人が襲来している東京で、そんなこととは関係なく、主人公の一人称の語りが暴走気味に錯綜気味にずーーーっと続いていて、それが面白くて面白くて、一気読みした作品。なんだかわからないけど、説明しきれないけど、すごく面白かった。
『ロミオの災難』 来楽零
演劇部員たちが見つけたボロボロの『ロミオとジュリエット』の台本。文化祭でそれを演じることに決めた瞬間から、五人の心に他人の想いが憑依して―――。
学園ホラー+ラブコメディ。1冊ですんなりまとまっているラノベで、登場人物に好感が持てる作品。
『ばいばい、アース』(1〜4) 冲方丁
春休みに個人的怒涛の冲方祭りを開催していたときに一気読み。様々な種族が暮らす世界で、唯一、種族的な特徴を持たない少女が、自らの出自を探り同胞とめぐり合う為に旅をしようとする話。
0から構築された世界とそこに暮らす人々を緻密に描いていて、著者がデビューして間もない頃の作品のため、多少の読みづらさはあるのですが、それにも増して面白かったです。
『オイレンシュピーゲル』&『スプライトシュピーゲル』(各1〜4、未完) 冲方丁
角川スニーカー+富士見ファンタジアという2つのライトノベル・レーベルと天才・冲方丁が推し進める同じ舞台で、複雑に絡み合わせながら2つのシリーズを描く、というとんでもない企画の産物。
2016年の未来を国際都市で張り巡らされる権謀術数と、そこへ立ち向かう四肢を機械化した少女たちのぶっ飛んだバトルは必見。
『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。』 萬屋直人
存在が消滅してしまうという『喪失症』が蔓延り、あらゆるもの・ひとが名前や存在を消失した世界。少年と少女はスーパーカブに荷物を満載し、世界の果てを目指し旅をしていく―――。
いくらでもお涙頂戴な話しに出来る設定を、淡々と転がして爽やかな読後感へ持っていく作品。デビュー作とは思えません。
『とらドラ!』(1〜9+外伝) 竹宮ゆゆこ
説明不要の超弩級ハイテンション・青春ラブコメ。女性が書いているからなのかなんなのか、登場するヒロイン達がラノベにありがちな都合の良い“キャラ”じゃなくて、醜いところもある“登場人物”なのが特徴。アニメ見て興味を持った人は是非とも原作を。おそらく完結間近です。
『生徒会の一存』(1〜3+外伝) 葵せきな
生徒会室に集まる女の子×4+主人公がひたすらどうでも良い会話をし続けると言う、ゆるゆるな小説。ラノベネタやらマンガネタやら盛りだくさん。本気で、生徒会室でダベること以外をしていないのに面白いという凄まじさ。
『青年は荒野をめざす』 五木寛之
プロのジャズメンをめざす青年・ジュンは東京からソ連・ナホトカへ、そして、モスクワ、ヘルシンキ、パリ……と様々な場所で、様々な経験を積んでいく―――。
↓の『荒野』の中で荒野(主人公)が読んでいたので、手にとってみた作品。何十年も前に流行った青春小説で、今の自分が読んだってたいして共感できないだろうと思っていたら、大間違いで、とんでもなくのめりこんでしまいました。
『荒野』 桜庭一樹
少女の成長と恋を数年間の時を追って描く作品。切なかったり、世界や大人がわけわからなかったり、時が経つのが早すぎたり、成長してしまった自分に驚いたり……といった描写が最高級に上手い。
『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介
夏休み前の終業式の日、欠席したS君の家を訪れたミチオは、S君の死体を発見する。だが、死体はどこかへと消失。………そして、一週間後。“生まれ変わった”S君は告げる―――「僕の身体を見つけて欲しい」と。
良い意味で「滅茶苦茶に気持ち悪い」小説。ミステリ的などんでん返しのオチの凄まじさも相まって、すごいとしか言いようの無い。
『“文学少女”と神に臨む作家』上下(文学少女シリーズ、最終巻) 野村美月
ここ何年か熱狂していた文学少女シリーズの最終巻。ページをめくるもどかしさと、ページをめくりたくない寂しさを、同時に味わわせてくれるこの最終巻でした。
シリーズを通して最高に素晴らしい出来で、本を愛する全ての人、小説を書きたいと思う全てのへ贈りたい作品。画集まで買いました。
『ドグラ・マグラ』上下 夢野久作
読む者の精神に異常をきたすとする推理小説。確かにこれは狂ってもおかしくないと思わせる熱量が感じられる本でした。小説とか論文とかぐっちゃぐっちゃにしてかき回したみたいな。
『空想東京百景』ゆずはらとしゆき
魔銃遣い、探偵、警視庁0課、巨大ロボット、魔術師……と中二病テイスト漂う要素をぶち込んで昭和の世界とミックスして、そこから取り出した断片を並べてみました、という感じ。面白い……面白いのだけれど、わけのわからない話である。ひとつの大きな物語として起承転結がカチっとしているタイプの物語ではなくて、隙間は読者が想像と妄想で埋めてください、とでも言うような。
小説とイラストと漫画と注釈が入り混じった構成は、講談社BOXでしか出せなかっただろうな、と思わせる作品です。
『生まれ来る子供たちのために』(松浦純菜シリーズ、最終巻) 浦賀和宏
世界や社会や世間への悪意とが塊になってこちらを押しつぶしてくるような、アンチ・セカイ系かつアンチ・脱格ミステリの最終巻。とんでもなく暗くてやるせなくて死にたくなるような作品。中二病真っ盛りの男子とかに読ませちゃいけない本ナンバー1。
『Self‐Reference ENGINE』
時空間がバラバラに壊れた、巨大な知性体が統べる世界の、これまたバラバラの物語の破片を描く、連作短編集。多分。
ほんとにわけがわからないのだけれど、“すごい”“面白い”ということだけがわかって、なにがすごくてなにが面白いのかすらわからないような作品。
漫画
『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』(1,2)佐伯淳一
男キャラが見せるキモいくらいのアホ顔が素晴らしい、滝本竜彦の同名小説のコミカライズ。尺の関係で削られた部分hが数あれど、それでも、とても良いコミカライズでした。
『デイドリームネイション 1』 kashmir
『それでも町は廻っている』(1〜5続刊中) 石黒正数
普通の喫茶店を改装した色々間違ったメイド喫茶でバイトする、推理小説好き少女・歩鳥(アホの子)、バイト仲間のタッツン、喫茶店のマスターの婆ちゃん、常連の商店街のオッサン三人組に、歩鳥に惚れてる魚屋の息子、歩鳥の兄妹や友人に担任教師、一見不良の紺先輩などなど、個性豊かな面々が繰り広げる笑いあり涙ありの日常+@
昨年は、僕にとって「石黒正数を発見した年」と言っても過言ではないくらいです。それ町は、昨年1番読み返した回数が多い漫画です。
『ネムルバカ』 石黒正数
大学の女子寮で相部屋の鯨井ルカと入巣柚実。インディーズ・バンドの活動に打ち込むルカと、バイトの日々の柚実の、ぬるま湯かつ切実な大学生活―――。
大学生のうちに読めて良かった、と思えた作品。