- 作者: 前田司郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08/28
- メディア: 文庫
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僕は東京に生まれた。
ちょうど魔王のいる洞窟に入ろうとしているところ。
劇作家でもある著者の短編集で、表題作の他に『ゆっくり消える。記憶の幽霊』という短編が入っていて、そのどちらもこんな感じの一文が長い文体で書かれているのだけれど、これって最近のいわゆる現代文学的なものに多い気がする、気のせいだろうか。表題作は30歳無職男が不安を心の奥の奥に閉じ込めてのらりくらりと「生活」していく様子を描いていて、もう1本のほうは、崖から飛び降り自殺をした女のモノローグのみで構成された作品で、それも不安みたいなものをテーマにしている。前田司郎の作品を読むのは2冊目なのだが、どちらも面白かったので、本格的に集めて読もうかなと思う。