TrashyHeaven’sDiary

主に読書記録とか

世界の終わりの終わり

世界の終わりの終わり

世界の終わりの終わり

「闘って死にたかったのに、闘えないような話ばかりでした。かわいそうに」

小説家になったのに小説家を続けられなかった夢破れた青年の再生の過程の物語にして、私小説とそうでないものの狭間のような、佐藤友哉の絶望と再生の過程。
小説家の小説『1000の小説とバックベアード』も、この小説の小説『世界の終わりの終わり』も、時系列的にはともかく、佐藤友哉という書き手自身が恢復していく話なんだな、と思いました。で、恢復した瞬間が『灰色のダイエットコカコーラ』。
本当の本当に恢復したと言えるのは鏡家サーガの新刊が出たときか、あるいは鏡家サーガが完結したときなのでしょう。
『1000の小説とバックベアード』には無かったオタク方向のネタも躊躇なく組み込まれてます。
この小説を、佐藤友哉のこれまでも知らず、小説なんかの創作活動を一切知らない人が読んだらどう思うのでしょうか。