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主に読書記録とか

ファウスト vol.7 感想その1

ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook)

ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook)

別に休刊になっていたわけでもなんでもないのに、というか、しれっと予告をしておいた上での、実に2年ぶりの刊行となるファウスト。暑苦しいまでの熱気と、狂気とも凶器ともいえる1200ページオーバーのボリュームです。
頭っから半分ほど読んだのでピックアップして短文感想。

佐藤友哉『ウィワクシアの読書感想文』

物語がね、救ってくれなかったのです。

ノン・シリーズものの短編。子供の頃から失敗ばかりで周囲に馴染めず、自ら書き記した自分だけの、「ぼく2」が活躍する物語を糧として生きてきた青年。彼が語る、「物語」の読書感想文。
普段とは違う文体で書かれたこれは、思想としては『1000の小説とバックベアード』に繋がるものがありました。

佐藤友哉『青酸クリームソーダ

「くやしかったら強くなりなさい」

鏡家兄妹総出演でおくる、鏡家サーガ・入門編。あぁ鏡家だ、と思えた。まだ大丈夫。
フリッカー式』以前の、公彦を主人公とした物語で、ミステリの皮を被った“別のなにか”。

佐藤&西尾 対談

もう二人は三十歳近いんだ、ということにショックを受ける。あたりまえのことなのだけど。だって、僕だって年をくっているんだから。
『戯言』完結以降の西尾維新はあまり魂を削った小説を書かなくなったなぁと個人的に思っていたのだけれど、西尾維新は日和っている自覚があったらしい。ただ、永遠に魂を削り続けることの出来る作家などいないだろうし(非常に寡作だというならともかく。)どこかで日和ることは確実なのだと思う。
佐藤友哉は日和っていないのかどうか、ということは良くわからない。日和っていないころの自分を上手く模倣し続けているだけなのか、それとも今も鋭く居続けているのか。

郭敬明『悲しみは逆流して河になる』

どんな女子生徒の人生にも、こんな男の子が存在する。愛する対象ではないし、彼氏でもない。
 けれど、一番近いところに、必ず彼の場所がある。

どうしようもないなにかに翻弄されていく、少年と少女の物語。
中国の現代作家の小説を読むのは初めてだと思う。訳に違和感はないし、人名・地名を除けばすんなりと読めた(できれば、ルビはもっと頻繁に振ってほしい。人名の読み方がわからなくなる)。第一話しか載っていないので、ストーリー的な観点から論じることはできないのだけれど、文体には詩的表現が多いように思えた。中村九郎を上海に持っていったら大ブレイクするんじゃないだろうか、なんて。

渡辺&太田 対談

とにかく熱く語り倒す。太田さんがやろうとしていることは夢物語的ではあるけれど、いずれ実現するのではないかと思わせる。できるならば、横で見ていたいくらい。しかし、日本という国が抱える閉塞感と、醜い足の引っ張り合いには、毎度毎度イヤになる。