- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 単行本
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ありがとう、と言いかけて、わたしたちにはそぐわない言葉のような気がして、飲み込んだ。
桜庭一樹の直木賞受賞作。
父親と娘のタブーな恋愛を、娘の結婚から遡り、複数の視点から描いています。んー、面白かった。
テーマは、父親と娘、男と女、そして家族、といったところでしょうか。桜庭一樹作品には頻出するテーマです。
父親あるいは母親との関係性についての話と言うのは、それこそ、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』*1とか、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』*2なんかに顕著だし、GOSICKですらヴィクトリカは父親や母親の強い影響下にあります。家族、は『赤朽葉家の伝説』という血族物語があるし。
また、時とともにうつろう姿を描き出す、という点も、今までの桜庭作品にある方法です。
『赤朽葉家の伝説』が桜庭一樹の集大成のポジで、こちらがネガかなぁ、などと思いました。
インタビューで、“少女”は書ききったと語っていたので、次なる作品がどんなものになるのか楽しみです。