- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1996/08/25
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (101件) を見る
「私が好きなのは何といってもこの島の夜。この小さな島が世界になって、宇宙を漂ってるみたいな気になるの」
EMCの新たなメンバー、麻里亜の叔父が所有する孤島。その島に隠された、彼女の祖父が残したパズルを解き、隠された宝物を見つけるため、マリア、江神、アリスの三人は島へと向かうが―――。
江神シリーズ、あるいは学生アリスシリーズ、第二弾。マリア、登場。
こちらも、『月光ゲーム』と同じく昔、図書館で借りて読んだことがあるはずなのですが、個々の場面――冒頭の喫茶店、マリアとアリスのボート上のやりとり――は覚えていても、事件の犯人やなんかは全然覚えていませんでした。同じミステリを、二度、まっさらな気持ちで楽しめるのは素敵なことです。しかも、キャラクターたちだけは、僕の頭の中に残っているので、脳内で動く動く。
特に、マリア。
ミステリという趣味の(オタク的な)知識を持ち、元気溌剌に動き回り、他愛ない軽口を交わす――――この二作目で初お目見えとなるヒロイン・有馬麻里亜は、どちらかと言えば内向的な人間が多いだろうミステリ・ファンの男性諸氏にとって、理想の女性像かもしれません。
それにしても、十九歳のアリスの物語が十九歳で読んだ最後の本で、二十歳になった僕が初めて読んだ本が二十歳のアリスの物語とは。なんて奇遇。