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日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集

日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)

日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)

黒死館殺人事件」の完成によって、それまで発表した幾つかの短編は、いずれも、路傍の雑草のごとく、哀われ果敢ないものになってしまった。
―――「著者之序」より

よ、読み終わった……っ!
やったよ、オレ……!
普通のライトノベルの4倍、一般小説やミステリと比べても2倍くらいのページの黒さ。めちゃくちゃ時間かかりましたよ。
収録作は、デビュー作『完全犯罪』、『後光殺人事件』、『聖アレキセイ寺院の惨劇』、『オフェリヤ殺し』、そして―――日本三大ミステリの一つとしても名高い『黒死館殺人事件』でした。
『完全犯罪』、『後光殺人事件』、『聖アレキセイ寺院の惨劇』は、まだ衒学趣味*1も抑えられていて、普通のミステリっていう感じですけれど、『黒死館殺人事件』とその後に書かれた作品であるところの『オフェリヤ殺し』は衒学趣味に溢れてて、読むのが大変でした。
特に大長編の黒死館。
読みながら寝落ちすること数回、読めない漢字の意味するところに頭を捻り、オカルト宗教薬草星座建築学紋章学犯罪学などなどの絶大な量の薀蓄に辟易しつつ、どうにか閉幕までを読みきりましたよ。

今なら、どんな難しい論文も読める気がするッ……。なんかもう、とんでもない小説でした。濃度と迫力が凄すぎる。どんな思考形態をしてたらこんなモンが書けるんでしょうね。

*1:ペダントリー・学問や学識をひけらかすこと