TrashyHeaven’sDiary

主に読書記録とか

生まれ来る子供たちのために

生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)

生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)

「『特別な存在』なんていない。俺も、お前もそうだ」

登場人物たちの思惑と行動が空回りして、暴走して――――アンチ・セカイ系かつアンチ・脱格ミステリ、八木剛士/松浦純菜シリーズ、最終巻。
誰もがどんどん最悪な方向へ進んで行く。コンプレックスと、世界や社会や世間への悪意とが塊になってこちらを押しつぶしてくるようなモノローグが、圧倒的に迫る。誰もが被害者で加害者で、正しくて間違っていて、醜くて残酷な結末へ辿り着くけれど、これは確かに愛の物語でもあって、副題で作者は高らかに宣言する―――“But,we are not a mistake”と。
あと数年早く読まなくて良かったなぁ、と思いました。このシリーズは力が強すぎて、感染してしまっていたでしょう。