TrashyHeaven’sDiary

主に読書記録とか

怪談。

これは、僕が友人のSから聞いた話です。
Sとその家族がとあるモーテルに泊まった時の話です。
Sの両親が一部屋、Sと弟・妹が一部屋、と二部屋に別れて泊まったんだそうです。
 部屋にはベッドが一つしか無かったので、弟と妹をベッドに寝かせ、Sは床に寝ることにしたのだそうです。
しばらく雑談をした後、明かりを小さくして寝ることになりました。
その時、Sの妹が寝返りをうちました。今までベッドの中央に向けていた顔を、縁の方へと向ける格好になりました。
すると。
そこに、あったんだそうです。
女の人の青ざめた顔が。
Sの妹は咄嗟に「気付いていないフリをするしかない」と思ったそうです。少し間をおいて、また寝返りをうち、女と目を合わせないようにしたそうです。
そして。女の気配はしばらくすると消えたそうです。
しかし――。Sの妹はこう言ったそうです。
「女の人の気配はお兄ちゃんのほうへ行った」と。
“お兄ちゃん”とはもちろん、S本人のことです。