TrashyHeaven’sDiary

主に読書記録とか

PSYCHE プシュケ

PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

「それにしたって、きみはどこへ行こうとしてるんだい。逃げ道なんかないんだぜ?」

飛行機事故からひとり生還した「僕」には死んだハズの家族の姿が見えていた。その死人の家族と一緒に暮らしながら絵を描く「僕」の奇妙な日々はやがて……。
日常を舞台にした、非日常は軽くエッセンス程度の、憂鬱で切ない話。だと思っていた。実際のところ、当たっているといえる要素は「憂鬱」くらいだ。
「僕」が世間/世界とずれている様はある程度の共感をもって読めたし、入れ子構造的な虚実入り混じるラストも素晴らしかった。酩酊感を味わえる小説だと思う。
また、表紙絵画家の選択を含め、本のトータルデザインは秀逸。