Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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僕たちは溺れているか、溺れかけているか、既に溺れてしまっているか、まだ溺れてなんかいないのかのどれかの状態にある。無論、決して溺れないという可能性は存在する。しかし考えてもみて欲しい。魚だって溺れるのだ。
時空間がバラバラに壊れた、巨大な知性体が統べる世界の、これまたバラバラの物語の破片を描く、連作短編集。多分。
なんというか、わけがわからなかった。理系タームがそもそもあんまりわからない、というのもあるのだけれど、短編たちが、別々のパズルを構成するピースだけをごちゃまぜにしたみたいな、繋がりそうで繋がらないものなのであるので、ミステリー的な問題解決だとか伏線消化といったカタルシスは存在しない。そもそも、個々の話でも意味不明なものがいくつかあるし。床を掘ったらフロイトが出てくる話をどう理解しろと言うんだ。
で、面白くなかったのかと聞かれたら、そんなことはなかったわけで―――というか、面白かったわけで。なんだかわけがわからないけれど面白い、としか言いようがない。