- 作者: エミリー・ブロンテ,鴻巣友季子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: ペーパーバック
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「俺の城をひっくり返した跡にあばら家を建て、それを俺にあてがって勝手に慈善家ぶるんじゃない」
嵐が丘のアーンショウ家、鶫の辻リントン家、そして出自の知れぬヒースクリフを巡る、親子2代にわたる愛憎の物語。
かなり長大な(文庫にして700ページ!)で、登場人物の名前もちょっと取っ付き辛い(なにせ、「リントン」という名字のヤツと、「リントン」という名前のヤツがいるのだから!)ですが、後半はのめり込んで読むことができました。まさに圧巻。
恋愛小説、と梗概には書かれていましたが、後書きで述べられている通りの「心理サスペンス」という趣が強かった気がします。愛とエゴイズムゆえに生じるすれ違いやぶつかり合いで、徐々に狂っていく精神の歯車。
ヒースクリフなんか、狂気を通り越して、最後の方は哀しみを悟った悪魔、といったふうですが、一番恐ろしいのは全ての出来事にちょっとずつ関わって、無自覚かもしれませんが、最悪の経路へと適宜の軌道修正をおこなっていたネリーおばさんでしょう。