- 作者: 荻原規子,香坂ゆう
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 新書
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「本音を言わなきゃ。おれたちが学生でなくなって、本音を言ったらたたきつぶされる場所へ行く前に」
些細なことをきっかけに、生徒会執行部の活動に関わることになった主人公が出会う、高校生たちの光と影。
『これは王国のかぎ』に続く、上田ひろみを主人公にした物語。とは言え、『これは〜』がアラビアンナイトの世界に行くファンタジックな話だったのに対し、こちらでは現代日本の高校を舞台にした青春模様を描いています。まぁ、著者の言葉の通り『このような学園生活は、今どき異世界よりも遠いファンタジー』なのかもしれませんけれど。
合唱祭、夏祭り、学園祭、体育祭、とイベント目白押しを一冊に詰め込んでいて、忙しなくも楽しい雰囲気。そのおかげで、暗い事件が目立つ。
頭の中にミステリ回路が出来上がっている所為で、ちょっとでもそういう雰囲気がするとミステリ的な解決を待ち望んでしまうのですけど、これは全然ミステリ的な解決には至らなかったです。ですが、真に“人間を描いた”らこういうふうになるのかもなんて思いました。