TrashyHeaven’sDiary

主に読書記録とか

荒野

荒野

荒野

「君の世界のほうがずっとロマンさ。なんといっても高校一年生だ。あぁ、おどろくべき時間。……ほんの一瞬の、閃光のような」

蜻蛉のような恋愛小説家・山之内正慶の娘、山之内荒野。彼女が出会うのは、未だ見ぬ“荒野”を目指す少年・悠也。彼女と彼の淡い恋と、周囲の大人たちの狂う愛―――。
まちにまった『荒野の恋』第三部が刊行―――という記事を、いつか此処に書きたかったけれど、それは最早叶わぬ願いとなってしまいました。……てなわけで、『荒野の恋 第一部 catch the tail』及び『荒野の恋 第二部 bump of love』に書き下ろしの第三部を加えた『荒野』です。物語の感想よりも前に、「良かった完結したよ!」という思いが一入。
少女の青春物語として、とても素晴らしい出来でした。切なかったり、世界や大人がわけわからなかったり、時が経つのが早すぎたり、成長してしまった自分に驚いたり……。ただ、直木賞『私の男』桜庭一樹を知った人は、これ読んだら驚くだろうなぁ……。
以下、ファミ通文庫版読者にのみ通ずる愚痴。
惜しいライトノベルを失くしたと思いました。これは、ラノベを好んで読むような、中学生や高校生が自分の“今”や“こないだ”や“ちょっと先”と重ね合わせながら読むべきものです。ソフトカバーの1500円以上もする本を、ほいっと買ってしまえるオトナではなくて、「直木賞受賞後第一作」だなんて帯の文句につられる俗人でもなくて、彼らや彼女らに、読んで欲しい。
あと、ミギーさんの描く、16歳の荒野や悠也を見たい!
さらに言えば、荒野の口調は、あのちょっと、どもり気味なのが可愛かったし、合ってたと思う!