The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜
- 作者: 乙一,荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/11/26
- メディア: 単行本
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「きみは感じたことないか、ストーリーの力を」
乙一による、ジョジョの奇妙な冒険、第四部ノベライズ。親と子の、血縁と運命の物語。
この作品は、僕がジョジョと出会うきっかけになった作品です。この作品が無ければ、僕はジョジョを読むことは無かったでしょう。しかし―――それでいて、僕はジョジョファンとしての立場からもこの小説を読みました。時空が歪んでいます。それもこれも、乙一が5年もの歳月をこれに費やしているからなのですが。
5年かけただけあって、完成度はピカイチです。見事に、乙一の世界とジョジョの世界が融合してる。乙一的な要素(白、黒両方を含む+ミステリー)とジョジョ読者に対するファンサービスがたっぷりです。
スタンドに関してはジョジョ読者にとってみれば少々解説がくどいところもあるのですが、ジョジョ未読の乙一ファンに対する精一杯の配慮なのでしょう。願わくば、これをきっかけにジョジョファンが増えんことを。
以下ネタバレ含むため反転
この話は4部の登場人物にとって、不可解な形で幕を下ろします。これは、序盤で康一が言っているとおり「ボクたちはただ、彼の人生に途中から参加しただけ」だからなのでしょう。この物語の主人公はあくまでも蓮見琢馬と双葉千帆であって、仗介たちではないのです。
ラストの康一の叫びが、母子に希望をもたらして、暗澹とした物語を最後の最後でもって照らします。千帆とその子供は、琢馬のように、悲しく生きることはないのでしょう。
あと、序章に仕掛けられた小さな叙述トリックにはまんまとやられました。